かまぼこの健康機能

ー栄養編ー

かまぼこ製品の主成分は、たんぱく質。たんぱく質は、筋肉など体をつくる材料になること以外に、
体を正常に保つための酵素や、ホルモン、神経伝達物質の原料にもなり、免疫力アップにも欠かせません。
そのほか、かまぼこ製品に含まれるうれしい成分を見てみましょう。

かまぼこ製品の成分(g/100g)

(かに風味かまぼこ、す巻きかまぼこ、蒸しかまぼこ、
焼き抜きかまぼこ、焼き竹輪)

資料:七訂日本食品標準成分表/七訂日本食品標準成分表脂肪酸成分表編

高タンパク、低カロリー
必須アミノ酸も豊富

かまぼこ製品のたんぱく質は、他のたんぱく質源に比べ、カロリーが低いことが特徴。たんぱく質には熱を発生させて体温を上げる働きもあり、そのためには1日の摂取カロリー中の4割を占める必要があると言われていますが、かまぼこ製品なら簡単にクリアすることができます。また、かまぼこ製品は必須アミノ酸の含有量が理想的なバランス。良質なたんぱく質とされているのは、このためです。さらに、かまぼこ製品のたんぱく質が消化・分解された際には、たくさんのアミノ酸が結合した「ペプチド」が生成されます。ペプチドが糖尿病や大腸がん、認知症予防にも役立つ健康機能性の研究が進められています。

体にとって有効な生理作用がある
魚介類の脂肪

脂肪というと生活習慣病を引き起こす原因と思われがちですが、総エネルギーに対して必要な脂肪の比率は20%以上30%(30歳以上は25%)未満。集中力や記憶力、ホルモンバランスを保つためにも、ある程度なくてはならない栄養素の一つです。しかも、かまぼこ製品の脂肪は体にとって有効な生理作用があり、主な成分は体に良い働きをするn-3系脂肪酸。健康機能も期待できるというメリットがあります。適度に良質な脂肪を摂るためにも、主食・主菜・副菜がそろった献立に、かまぼこ製品を上手に組み合わせましょう。

n-3系脂肪酸という
健康機能の高いグループに
含まれるDHAとEPA

最近よく耳にするDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)。いずれも健康機能が高いと言われるn-3系脂肪酸のグループに該当し、DHAは脳や情報伝達に関わっていて学習能力や集中力を高めるEPAは血液をサラサラにして動脈硬化や心疾患を予防するなどの効果が期待されています。これらの成分は、かまぼこ製品の中でも種類によって含有量が異なり、赤身魚を使った揚かまぼこやつみれなどが比較的に多く、多種類のかまぼこ製品を組み合わせた献立にすると、DHAやEPAも効率よく摂れて、味も健康も充実します。

かまぼこの健康機能

ー健康維持編ー

かまぼこ製品の栄養と健康機能の研究の結果、
メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病の抑制効果が明らかになってきました。
ここでは、糖尿病、肥満、認知症に対して行った動物実験をもとに、かまぼこ製品の優れた働きをご紹介。
健康維持に一定の成果を上げています。

糖分の吸収を防ぎ、血糖値上昇を抑制

放置すれば恐ろしい合併症を引き起こす糖尿病。その原因となる糖類、コレステロール、中性脂肪などの消化・吸収に及ぼす影響を研究した結果、かまぼこ製品の摂取により、しょ糖、ブドウ糖などの小腸からの吸収が抑制され、食後の急激な血糖値の上昇が抑制できることが明 らかになりました。また、生の原料のすり身とかまぼこ製品の比較実験では、生のすり身では抑制作用が見られず、製造過程の熱処理によって変性したかまぼこ製品のたんぱく質が血糖値上昇の抑制に関与していることがわかりました。

脂肪の蓄積を抑え、ダイエットにも

動物実験によると、かまぼこ製品の酵素分解物質としてできるペプチドが、脂肪細胞への分化抑制と脂肪積抑制に関与していることが明らかになりました。また、肥満ラットに対して、高脂肪食を続けながら、かまぼこを摂取した場合、こんにゃくを摂取した場合、ほぼ標準食を摂取した場合の比較実験を3週間行ったところ、かまぼこ群は体重増加量とエネルギー摂取量の比が最も少なく、脂肪細胞のエネルギー代謝に関係する遺伝子の発現にかまぼこの摂取が関与していることがわかりました。これにより、かまぼこ製品を食べると太りにくくなるものと考えられます。

脳や神経成長因子にも働く

アルツハイマー型認知症患者は健常者に比べて魚の摂取量が非常に少ないことがわかっており、魚を食べると頭が良くなると言われる根拠は、DHAなどのn-3系脂肪酸の働きによるものという考え方が一般的です。そこで、DHAではなく魚のたんぱく質に着目した研究を試みてみると、ペプチドが一定の作用を見せました。動物実験では、ペプチドを添加したエサ群を食べると神経成長因子の産生量が有意に増 加し、かまぼこ製品の摂取が認知症予防に役立つことがわかってきました。